
こんばんは。外資系MRのアスカです。
本日は、製薬会社の将来性の見方について、書いていきたいと思います。
色々な側面からの見方があると思いますが、今回はオープンにされている資料からのパイプラインの読み解き方を書いていきます。
目次
各社の開発品は製薬協のホームページに全て載っている。

製薬協とは、日本製薬工業協会の略です。
基本的な会社の今後の開発品はこのHPに載っています。
参照:日本製薬工業協会
このHPの開発品目一覧を見れば、その会社の今後の開発品目が分かります。
今回は、その中でも1社見てみましょう!
では、世界的に有名なファイザーという会社のパイプラインを見てみましょう。
この一覧を見てもらうと、色々書いてありますが、まず見るべきは開発段階>国内の欄です。
ここの欄を見ると、承認・申請・第Ⅲ相・第Ⅱ相・第Ⅰ相という違いがあります。
- 承認:既に新薬として承認されているので、実際に使える状態
- 申請:申請しており、厚生労働省からの承認を待っている状態(申請から承認まで約1年ほどかかります)
- 第Ⅲ相:現在最終段階の治験を行っている。
- 第Ⅱ相:第Ⅲ相に移行するための検証試験
- 第Ⅰ相:第Ⅱ相に移行するための安全性を見る試験
全て多ければ多いほど将来性があります。ただ現時点では、どの段階で開発が中止になるか分からないので、承認になるまで安心はできません。
基本的には第Ⅲ相試験の結果が出た場合、どの会社もプレスリリースを出します。
プレスリリースは株価にも影響する大事な発表です。ここを敏感に察知するのは難しいので、長期的に見ていくことが大切だと思います。
各段階における説明

上でも少し書きましたが、薬剤の開発の状況は、5段階になってます。
申請まで行けば、承認までは時間の問題です。
申請するためには、第Ⅲ相試験でポジティブな結果が出なければいけません。
ここが、最も難しいところです。
逆に第Ⅲ相試験でポジティブな結果が出れば、会社としてはかなり期待できます。
では、この結果がポジティブになったかどうかはどう判断するのか、ということですが、それはプレスリリースが一番早いです。これは誰にでも平等ですが、これが出る日は誰にも予測できません。
なので、これは難しいです。
ただ、ここで公表されるのは、ポジティブになったかどうかの結果だけなので、詳細は、大きな学会で発表されます。
ここにアンテナを張るのは努力次第でなんとかなるので、ここは努力できるところだと思います。
要するに、第Ⅲ相試験の結果次第でかなり状況が変わります。
もちろん第Ⅲ相試験が成功するかどうかは誰にも分からないので、ここは運次第です。
第Ⅱ相試験の結果を見れば、なんとなく予想もできますが、全然逆の結果になることもあります。
結論としてはやはりここの第Ⅲ相試験の数が多い会社のほうが期待できます。
もちろんその前段階の第Ⅱ相試験、第Ⅰ相試験が多いことも大事です。
実際の開発パイプラインの見方は?

ファイザーさんは、かなり承認済みの薬剤が多いですね。
- クリゾチニブ(ROS1陽性の非小細胞肺癌)
- トファシチニブクエン酸塩(潰瘍性大腸炎)
- パルボシクリブ(乳癌)
- ボスチニブ(慢性骨髄性白血病)
- ダコミチニブ(EGFR陽性の非小細胞肺癌)
- デクスメデトミジン塩酸塩(鎮静薬)
これだけの承認済みの薬剤があるだけでもかなり凄いことです。ただ、専門の方が見れば分かると思いますが、各薬剤の適応(どんな病気に使われるか)の中で、競合薬が多いことや使える患者さんが少ないこともあります。
これは実際に薬を販売する上で、色々と大変なところですし、将来性という意味では、なかなか厳しいところもあります。
将来性の高い薬には2種類ありまして、
- First in Class(今までにない新薬)
- Best in Class(同系統の薬があるが、その中でNo.1)
このどちらかにあてはまれば、将来性は高いです。そこは自分である程度勉強して調べなければなりません。
この中で言えば、パルボシクリブやクリゾチニブはFirst in Classですね。ただ、パルボシクリブは2番目の薬が出てますし、クリゾチニブは患者さんの数が少ないです。
今後のパイプラインを見てみると、申請と第Ⅲ相のところにアベルマブというお薬がありますが、これは適応も多いので今後に期待できます。
ただ、これも調べてみると分かりますが、今話題の免疫チェックポイント阻害剤の一種です。
免疫チェックポイント阻害剤は各社がこぞって開発しているので、予測するのはなかなか難しいです。
ファイザーさんはかなり大きい会社なので、今後も期待できると思いますが、今の製薬業界はかなり激戦です。本当にめまぐるしく動いています。
MRの私もなかなか予測できません。
まとめ

色々と書きましたが、製薬協のHPで、各社のパイプラインは見ることができます。
もちろんこれだけで各社の将来性を判断することはできません。ただ、一つの指標にはなります。
私も社内にいると視野が狭くなりがちなので、今後もこういう観点で色々書きながら分析していきたいと思います。
私自身も書いていて勉強になりました。
また、色々分析してみますね。