
こんばんは。外資系MRのアスカです。
昨日の記事の書き方が個人的に気に入ったので、この流れで定期的に各社のパイプラインも見ていきたいと思います。
本日は、世界第3位のノバルティスファーマについて書いてみたいと思います。
ノバルティスファーマについて

ノバルティスファーマはスイスのバーゼルに本拠地を置く、世界第3位の製薬会社です。
チバガイギー社とサンド社の合併によって1996年に生まれました。
日本では虎ノ門ヒルズに本社があり、従業員数は4095名だそうです。
ノバルティスファーマと言えば、数年前の事件が思い出されますが、もう落ち着いていると思いますので、あえてそこについては触れません。
ノバルティスファーマの開発品

昨日も紹介致しましたが、こちらに載ってます。
少し古いリストになりますが、申請中の薬剤が7つありますね。
- オマリズマブ(プレフィルドシリンジ)
- セクキヌマブ(強直性脊椎炎)
- CTL019(急性リンパ芽球性白血病)
- CTL019(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)
- エベロリムス(結節性硬化症)
- セリチニブ(ALK遺伝子陽性の非小細胞肺癌)
今回はCTL019について少し取り上げてみたいと思います。昨年の4月に承認申請を出してるので、恐らく今年の4月くらいには承認されると思われます。
CTL019は「キムリア」といわれる薬で、キメラ抗原受容体T細胞医療(通称:CAR-T療法)と呼ばれます。
今回のCAR-T療法は国内初上陸でかなり注目されているようです。
CAR-T療法について

CAR-T療法とは、癌患者のT細胞にCD19抗原を認識して攻撃するキメラ抗体受容体を発現させ、体内に戻す画期的な免疫療法です。
海外では既に承認されており、月に5000万円治療費がかかるそうです。
日本での薬価の設定も注目されています。
CAR-T療法を簡単に説明します。
そもそも人間の生体内には、免疫反応と呼ばれる、体の中に入ってくる異物を除去するためのシステムが備わっています。その反応は、全ての物質に反応します。
そうなると、本来生体内に存在する必要な物質に対しても反応してしまいます。
それを防ぐためのシステムが免疫寛容というシステムになります。生体内に必要な物質は、細胞膜上のタンパク質を介して、異物を攻撃するT細胞に「私は異物じゃないですよー」という信号を出して、免疫寛容を起こします。
生体内に必要な物質であればいいんですが、実はがん細胞もしれっと免疫寛容を利用しています。
なので、それを防ぐために、異物を攻撃するT細胞の遺伝子を改変して、免疫寛容を起こさせなくするのがCAR-T療法です。
そのため、一度癌患者さんのT細胞を取り出して、遺伝子改変した後に、生体内に戻すという作業が必要になります。
今は血液癌がメインですが、今後は色々な癌腫に拡がってくる可能性はあります。
ただ、やはり免疫関連の副作用も出てくるようです。免疫関連の副作用は出てくると少しやっかいなものもあるので、気をつけたいところですね。
実際に薬が承認されれば、もっと詳しいことが出てくると思います。
ノバルティスの他のパイプラインは?

開発品リストを改めてみてみると、第Ⅲ相試験が20個ほど進行中です。
これはかなりすごいですね。どの薬が実際に上市されるか分かりませんが、これだけ候補があると、期待は膨らみますよね。
細かいことは避けますが、もう少し新しい情報が出てきたらまたこちらの記事でも取り上げていきたいと思います。
とりあえずCAR-T療法が今のトレンドですね。
今後のノバルティスに期待しましょう!