医療業界

がん遺伝子パネル検査が保険適用に!時代が進歩している。

投稿日:2019年5月31日 更新日:

こんばんは。外資系MRのアスカです。

本日は、製薬会社のMRらしく、ちょっとした業界ニュースについて紹介したいと思います。

がん遺伝子パネル検査ってご存知ですか?

がん遺伝子パネル検査とは?

がん遺伝子パネル検査とは、

1度に多数のがんにかかわる遺伝子の変異を調べる検査で、1つの遺伝子変異を何度もするよりも、検査時間や患者さんの負担が軽減できるものです。

ちょっとわかりにくいかもしれないので、補足しておくと、人間の癌の遺伝子変異をまとめて分かる検査です。

例えば、肺癌におけるEGFR検査や大腸癌におけるBRAF検査の検査など、一般的には内視鏡等を用いて、患者さんの癌から少し組織をとってきて、それを検査機関に送って、変異が陽性なのか、陰性なのかを調べます。

それぞれの遺伝子検査にそれぞれお金がかかるので、保険診療内で検査のできる回数が決まっていますし、基本的には、その癌種で治療薬のある遺伝子変異しか検査しません。

要するに、肺癌ならEGFR、大腸癌ならBRAF・RASなど、それだけしか検査しなかった(というかそれしか保険適用にならなかった)ので、肺癌ではRASは検査しませんし、大腸癌ではEGFRは検査していませんでした。

2019年6月1日からは、がん遺伝子検査パネルが保険適応になりましたので、基本的には、決められた100個以上の遺伝子変異の検査を一度に実施することが多くなると思います。

今回は、シスメックスと中外製薬からこの検査の申請が提出されていたので、その2社が使えるようになります。

がん遺伝子パネルが開発された背景



現在開発されている抗癌剤は、遺伝子の変異によって、感受性がかなり異なっています。

そこで、個々の患者さんの癌に生じている遺伝子変異を理解して、最適な治療法を見つけることが大切です。このようながんゲノム医療が発達すると、治療成績を大きく改善できるといわれています。

昔の抗癌剤は、患者さんの遺伝子変異に関係なく、細胞を破壊することを目的とした薬剤が多かったです。

ただ、最近では、抗癌剤もかなり進歩しているので、癌に特化した薬剤が増えてきています。

アメリカでは、既に癌種に限らず横断的に効果を示す薬もどんどん承認されています。

日本でもMSI-highの患者さんにおけるペンブロリズマブが癌種横断的に使える状況になっています。

もしかしたら、大腸癌の患者さんがEGFR陽性だった場合、基本的には治療薬はありません。ただ、肺癌であればEGFR陽性なら薬があります。

そういった場合には、臨床試験があれば優先的に使えますし、手続きをすれば、大腸癌でもEGFRに対する薬が使用できるようになるようです。

しかし、通常は、大腸癌の患者さんのEGFRの検査は行いません。

それをまとめて検査できるのが、がん遺伝子パネル検査です。

では、実際にどのように使われていくのか。

今回のがん遺伝子パネル検査では、114個の遺伝子変異と、12個の融合遺伝子を調べる検査にになります。

実施できるのは、がんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療連携病院が指定されており、そこで実施されます。

がんゲノム医療中核拠点病院とがんゲノム医療連携病院一覧

基本的にこういった施設で、癌の診断を受けた時は、Stage等にもよりますが、組織生検を行って、患者さんの癌の組織を少しとってきます。

それを次世代シーケンサーという機会で解析して、114個の遺伝子変異と12個の融合遺伝子を確認します。

ただ、そこですぐにその遺伝子変異に対する薬剤が使えるわけではありません。

従来から使える承認済みの薬剤は、問題なく使用できますが、他癌種で薬としては存在しているものの、自分の癌種に対する適応がない場合は、基本的に標準治療と呼ばれる薬が実施されます。

一般的な標準治療を使い切ったあとに、使える可能性があるというのが、今後の展開になります。

患者さんにとっては、なかなかはがゆいかもしれませんが、標準治療というのは確固たるエビデンスがある治療です。

まずはそちらを使ってからでも遅くないはずなので、そこは主治医の先生からしっかり説明してもらいましょう。

それに、ある遺伝子変異があったとしても、それに対する薬が必ず効くわけではありません。効く可能性が高いというだけです。

今回の件に対する個人的見解



ここからは私見になりますので、ご了承ください。

今回のがん遺伝子パネル検査の保険適用はかなり良いことだと思います。

もしかしたら、大腸癌でEGFRが陽性であれば、肺癌でよく使われるEGFR-TKIという薬を使用することができるかもしれません。

これは、患者さんにとっては、非常に良い話です。

ただ、先ほども書きましたが、必ず効くわけではありません。

もちろん可能性はありますが、場合によっては、その治療薬で臨床試験を行ったが、効果が出なかった薬も存在していると思います。

そこだけは理解したうえで治療を行っていただく必要があります。

ただ、選択肢は増えたことになるので、今後に期待は持てると思います。

個人的には、今回保険適用になったシスメックスと中外製薬は、今後の医療業界に対して大きなアドバンテージを得ることになったと思います。

ビジネス的な観点から考えると、色々な癌種の遺伝子変異のデータを自社で持つというのは、とても役立ちます。

もちろん患者さんのためにというのが大前提ですが、製薬会社も営利企業なので、ビジネス的な考えがあります。

各癌種の遺伝子変異のデータを持っているということは、今後の新しい薬の開発に応用できるということです。

中外製薬などは、すでにかなり多くの遺伝子変異に対する薬を持っているので、ここからさらに開発が進んでくると思うと、かなり先の未来も見据えている感じがします。

医療も今後どんどん発展してくるので取り残されないようにしないといけないですね!

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