
こんばんは。外資系MRのアスカです。
本日は、販売情報提供活動ガイドラインが発動されてからどのように現場が変化しているのかを医療者側の目線で書いていきたいと思います。
MR側の意見は色々ありますが、医療者側の意見も色々あるようですね。
目次
ガイドライン発動後、医療者側への変化は?

以前、販売情報提供活動ガイドラインでMR側の活動やお弁当の提供などをテーマに記事を書きました。
この頃は、製薬会社側としては、ガイドラインを遵守するために社内での制度を整えるのに精一杯で、お互いのやり方を牽制したり、ビクビクしている会社が多かったように感じています。
私もこのガイドラインが発動された時は、色々と注意しながら活動していましたが、活動すればするほど息苦しさを感じていましたし、違和感はずっと持っていました。
これは多くのMRの方が同様に感じていると思います。
ただ、世の中的には、MRという仕事に対する風当たりや医師と製薬会社のお金の関係など、目をつけられる部分も多かったので、厚生労働省のやり方に従うしかなかったのです。
最近、見つけた以下の記事を見るまでは、世の中の流れに従うしかないのかな。とも思っていました。
有料会員向けの記事なので、中身に関してはここではあまり書きませんが、タイトルにもあるように、自主規制が強すぎて育薬に支障が出てるという内容です。
これはタイトルを見れば、わかるMRにはわかると思います。
「医療者側も情報求めてるし、ガイドラインやっぱり煩わしい。」
もちろん自主規制をしすぎている製薬会社側にも問題はあるかもしれませんが、製薬会社としては、色々な意味で厚生労働省には目をつけられたくないですからね。
1社では、流石に反論できません。
そうなったら製薬協などが上手くやり方を考える必要はあると思っています。
そもそも育薬ってどういうことなのか?

こちらのHPにもありますが、薬というのは、「創薬」と「育薬」の段階があります。
「創薬」はイメージしやすいので、ご存知の方も多いと思いますが、薬が臨床試験などを経て、患者さんが使えるように市場に出てくるまでの段階ですね。
「育薬」は市場に出てきてから始まります。
その名の通り薬を育てていくことですね。
市場に出た薬というのは、言うなれば赤ちゃんみたいなものです。
まだ、本人だけでは十分でなく、そこから市場でエキスパートの医師の助けを借りて、どんどんと大人になっていくイメージです。
市場に出てきたばかりの頃は、臨床試験で検証されているとは言え、思わぬ事態が起こることもあります。
そう言った情報をMRが収集して、全国から製薬会社に集まった情報を全国の医師にフィードバックして、さらに安全性を高めていきます。
MRというのは、医師とディスカッションすることで、この育薬に大きく関わっていく存在です。
MRとは言え、営業という側面がある。
これはやはり忘れてはならないことです。
最近は、各社数字に対する意識を下げているようですが、製薬会社も結局は営利企業なので、利益無くしては会社を存続できません。
(極端に言えば)会社が潰れると、新薬ができなくなるので、病気が治りません。
確かに製薬業界は色々と問題視されている部分もありますが、これはどの会社でも同じことです。
それに多くの会社やMRは、無理に自分のところの薬を使ってもらう訳ではなく、データに基づいて患者さんの役に立てるような提案をしています。
とは言え、やはりまだ古い考え方の人もいるので、そういったところが目立ってしまっているのかな。とも思います。
医師とMRによる育薬は大切。

話が少し逸れてしまいましたが、ニュースにもあるように、育薬をするためには、医師とMRのディスカッションがとても大切になります。
特に、実際の現場では、実際に薬が使えるかどうか分からない微妙な状況の患者さんがたくさんいます。
臨床試験や治験などは、正直、かなり厳しく選別されているので、かなり良い状態の人しか入れません。
一方、現場では、日々、医師が色々な病気を抱えた、決して状態が良いとは言えない患者さんと向き合っています。
そういった時に、医師はMRを頼ることがあります。
そんな時に、ネットで調べればわかるような当たり前のことだけでなく、全国から色々な情報を集めて提供できれば、医師だけでなく、患者さんのためにもなるかもしれません。
そこにかなり厳しい制限がかかっている状態が今です。
基本的な情報以外はMRからは提供できないのです。
もちろんその理由も分かりますが、医師やメディカルスタッフの話を聞いていても、正直やりにくそうです。
医療者側も気を遣って、「これって答えられるんでしたっけ?」とか、最初からもう聞かないという人も多いです。
MRという仕事の存在価値はあるのか?

結構究極な質問ですよね。
MRやってる人でも、「存在価値ないでしょ」という人もいると思います。
医師側の意見としても、色々と意見は分かれているようで、MRの情報提供は必要ないという人もいれば、MRからの情報は必要という人もいます。
もちろんMR毎の質の問題もあると思います。
なので、一概にMRは絶対に必要だ!とは言えないですが、現在の規制の仕方はもう少し考えつつ、MR自身ももっと質を上げるように制度を整えていくことで、より育薬のレベルアップを図っていく必要は感じます。
MRは、確かに病院の中ではあまり歓迎される仕事ではないです。
ただ、MRが競って医師に情報提供をすることで、医師に最新情報がきっちり伝わっているところもあると考えています。
たまにMRが完全に出入り禁止になっている病院がありますが、色々な意味で個人的には少し不安になります。
色々話をしましたが、考えられる将来を想像しつつ、今自分ができることを精一杯やり、変化に適応し続けることが大切ですね。